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審美歯科におけるインフォームド・コンセントの重要性について

高 石 佳 知 、 和 田 弘 毅
歯産学誌 第13巻 第2号28-31(1999)

Summary
審美歯科治療を行う場合、最も重要なことは患者の要望を満足させることです。そのために、模型、補綴物の見本等は、特によく用いられる方法です。しかしながら、治療前の説明に対して、患者が十分理解し、納得しているかというと疑問があります。そこで、治療前に患者本人の顔に調和した、最も美しい口元のイメージを提示することが出来るシュミレーションソフト(特許出願中)を用いることで、短時間でしかも容易に患者の理解と納得が得られ、患者とのインフォームド・コンセントにシュミレーションソフトが重要な役割を果たすことが確認できたので報告します。
Key words : 審美歯科、シュミレーション、インフォームド・コンセント、コンピューターグラフィックス

1.はじめに
患者さんにとって、歯科治療を受信する場合、一番不安なのは「痛みが無いか」「よく噛むことができるか」「美しい口元になるだろうか」という3点です。特に前歯を治療する場合、かなり神経質になる方もいらっしゃいますが、口元で顔のイメージが決まることを考えますと、当然のことと思えます。
歯科医の当然、かなり詳しく見本写真を見せて説明しますが、患者さん本人の口元ではないので、治療後のイメージが理解しにくいのも、仕方ないかと思えます。最近になって、口腔内カメラ、デジタルカメラ等の普及で、パソコンに画像を取り込み、患者さんに見せる器具が出てきました。しかし、患者さんの顔に調和した治療後のイメージを提供し、美しい口元の再現できる器具が無いように思えます。また、操作の煩雑さと、処理時間があまりに長くかかり、実用的でないと考えます。
そこで患者さんが、本当に自分の受ける治療を理解し、患者さんに満足して頂くため、治療前に治療後の画像を見ることができ、心から安心して治療を受けることのできる器具の必要性を感じ、独自に開発した次第です。
今回開発したDRIS(Dental Rendering Image Sysutem)は、個々の患者さんの顔貌に調和した、最も美しい口元のイメージを提供できるものです。しかも、操作時間が十分間程度と極めて短時間であるというのが最大の利点です。歯の長さ、幅、位置アーチ、どれも経験と勘による要素が強く、経験の浅い歯科医には、確信を持って決めにくく、難しいところです。しかし、この器具を使えば患者さんが、心から満足できる口元を、正確にしかも早く、画像で見せることが出来ます。また、治療後の歯の寸法基準値を明確に出すことができ、患者さん、歯科医、歯科技工士の全ての人々にとって、前歯の治療に際しての不安を取り除き、満足の行く結果が得られます。

 

dris_image.jpg

具体的には、デジタルカメラで患者さんの顔、口元の写真を撮影します。次にそれをパソコンに取り込み、DRISのソフトを使って画像処理を行います。(図1)。そして、短時間で患者さんの治療後のイメージ画像を作成することが出来ます。(図2)。まさに、審美歯科治療には、このシステム器具がこれより欠くことの出来ない器具になるものと確信します。

2.方法
患者の顔と歯列をデジタルカメラ(富士写真フィルム社、DS-330)で撮影し、そのデジタルイメージをPCカードリーダー(富士j写真フィルム社、CR-500)でパソコンに取り込み、DRISにより、画像処理を行います。
ソフトウエア上で、特定の測定方法に則り設定された測定地点を計測します。治療する歯牙の理想的なイメージ画像を構築し、患者との顔貌と調和したシュミレーション画像を仕上げます。まず、このシュミレーション画像から歯軸傾斜、咬合平面の歪み、正中線、理想的な上顎6前歯との位置関係、理想的な歯列の咬合面観が分かります。そして、理想的な歯の大きさを数値と患者さん本人の顔にシミュレーションされたイメージ画像を見ることが出来ます。この時、歯牙の色は、全てのシェードガイドの色にも合わせることが出来ます。

3.システムの基本構成
具体的な症例を見る前にデンタルレンダリング・イメージシステムの基本構成を説明します。

dris_system.jpg

デンタルレンダリング・イメージシステムの基本構成(図3)
CPU:PentiumⅡ 300MHz以上
メモリ:64Mbyte以上
ハードディスク:1Gbyte以上
モニタ:14インチ以上
デジタルカメラ:解像度1280×1024以上
(640×480がそのイメージが
撮影出来るもので、口腔内が
綺麗に撮影できること)
プリンタ:カラープリンタ
OS:Windows95・98・NT

4.1 症例1
70歳の女性です。咀嚼障害並びに、前歯部の変色が主訴です。デンタルレンダリング・イメージシステムを使用して、シミュレーション画像を作成し(図4)、顔と調和した理想的な歯牙の大きさで補綴物を完成させた治療後の写真ですが、見事に顔と調和していることが分かります。

dris_syourei1-1.jpg

図4 症例1
 

4.2 症例2
30歳の女性です。前歯部叢生による咀嚼障害が主訴です。デンタルレンダリング・イメージシステムを使用して、シミュレーション画像を作成し(図5)、治療前に患者さんに治療後のシミュレーション画像を見せて説明したところ、治療に対する不安と迷いが、治療後のシミュレーション画像を患者さん自身の顔で見ることが出来たことで、解消し、今までの模型、写真、本等を使った説明では得られなかったインフォームド・コンセントが確実に得られました。
そして、患者さんの顔と調和した理想的な歯牙と、同じ長さと幅で補綴物を作成したところ、自信と誇りに充ちた明るく素敵な笑顔が回復し、服装、髪型まで変わった治療後の写真を見るに、いかに、治療前に治療後の見本となる基準値の付与されたシミュレーション画像を提供することが、大切であるかが分かります。インフォームド・コンセントの重要性が周知の事実となった現在の歯科治療に極めて重要な役割を果たす可能性が伺えます。

dris_syourei2-1.jpg

図5 症例2
 

5.結論
1.審美基準値が出来ることにより、理論的かつ客観的な基準に基づき、患者さん個人ごとに歯列の歪み等を分析し、治療後の理想的なイメージ画像を作成できます。
2.コンマ1mm単位で理想とする具体的な治療後の歯牙の寸法が算出され、加工品質が、歯科医、技工士の熟練度に左右されにくく、安定化が図れます。
3.歯科医、患者ともに治療後のイメージ画像を治療前に確認でき、患者さんの不安を軽減し、技工物の品質、精度も向上するためトラブル発生の危険性が軽減され、インフォームド・コンセントが確実に得られます。
6.まとめ
審美歯科治療の現状は、職人的な勘と経験に依存し、技巧物の品質が不安定で、患者との意思疎通がはかりにくく、インフォームド・コンセントを得るのに膨大な労力を必要とする等の問題点が国内での普及の障害になっていました。今回開発されたDRISを使用した審美歯科診断システムでは歯科医、技工士の生産性、補綴物の精度、患者の満足度等の面で飛躍的な向上が期待されます。同時に審美歯科へ進出した歯科医の歯科経営の高付加価値化、熟練歯科医、技工士の不足解消に貢献できると確信します。

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